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広島高等裁判所 昭和41年(行コ)16号 判決

広島市中広町一丁目四番二七号

控訴人

中村兆成

同市加古町九番一号

被控訴人

広島西税務署長

鳥谷英一

同市上八丁堀六番三〇号

広島国税局長

宇佐美勝

被控訴人両名指定代理人検事

小川英長

法務事務官 池田博美

大蔵事務官 吉富正輝

岸田雄三

常本一三

広光喜久蔵

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「原判決を取消す。被控訴人税務署長が控訴人に対し、昭和四〇年九月二日付で、昭和三七年度分の所得税を更正し、加算税を賦課した処分及び同年一一月一七日付で右処分に対する異議申立を却下した決定を、いずれも取消す。被控訴人国税局長が控訴人に対し、昭和四一年三月三一日付で、前記更正及び賦課処分に対する審査請求を却下した裁決を取消す。訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人両名の負担とする。」との判決を求め、被控訴人両名代理人は、主文と同趣旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び立証は原判決記載のとおりであるから、これを引用する。

理由

当裁判所も本訴をいずれも不適法とするものであつて、その理由は、次のとおり訂正する外は、原判決理由欄記載のとおりであるから、これを引用する。

一、冒頭から第一項第二段「この取消の訴は、」までを、「被控訴人税務署長がした本件所得税更正加算税賦課処分取消の訴は、」と改める。

二、第一項第六段「然るに、」以下第二項末段までを次のとおり改める。

しかるに控訴人が、右処分の通知を受けた日の翌日から一月以内に、被控訴人税務署長に対し異議申立をしていないことは、控訴人が認めているところであるから、右期間の経過とともに右処分は確定し、もはや右処分の取消の訴を提起することができないものといわなければならない。

そうすると、前記処分の取消ならびにその取消を目的とする前記異議申立却下の決定および前記裁決の取消を求める本訴は不適法として却下を免れない。

以上の次第で原判決は結局正当に帰するので、本件控訴を棄却することとし、行政事件訴訟法第七条、民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 宮田信夫 裁判官 辻川利正 裁判官 裾分一立)

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